木霊、言霊。

備忘録か、遺言か、ラブレターか。

火花を散らして

何かが、求めている。 何かを、求めている。 体が、生を求めている。 心が、死を求めている。 何かが、叫んでいる。 何かを、叫んでいる。 体が、生きたいと叫んでいる。 心が、死にたいと叫んでいる。 産声を上げた日から、体は生きることばかりを考えてい…

アポトーシス

あの恐怖は、身の程を知る為に必要だった。 あの屈辱は、身の丈を知る為に必要だった。 あの劣情は、卑しさを知る為に必要だった。 あの空白は、侘しさを知る為に必要だった。 あの挫折は、悔しさを知る為に必要だった。 あの離別は、悲しみを知る為に必要だ…

深夜高速

まだ、夜は明けない。 宛てのない旅を続けている。 果てのない道が続いている。 目的地も、帰り道もない。 終わりも、始まりもない。 ただただ、途方も無い暗闇に伸びる道があるだけだ。 ただただ、途方も無い空白を抱いた僕がいるだけだ。 ただただ、暗闇の…

心臓

どうして、もう少しあなたの声に耳を澄ませておかなかったのだろう。 どうして、もう少しあなたの言葉に耳を傾けておかなかったのだろう。 どうして、あなたの悲鳴に気が付くことが出来なかったのだろう。 どうして、あなたの孤独に気が付くことが出来なかっ…

嘘吐き少年

初めて、嘘を吐いた。 大丈夫ではないのに、大丈夫だと言った。 初めて、嘘を吐いた。 本当のことではないのに、本当のことだと言った。 初めて、嘘を吐いた。 好きな人に、好きではないと言った。 初めて、嘘を吐いた。 好きでもない人に、好きだと言った。…

陰を生きる

街灯に群がる羽虫のように、光にその身を灼かれている。 太陽に焦がれた咎人のように、光にその心を奪われている。 光は、残酷なくらいに優しい。 光は、冷酷なくらいに眩しい。 光は、大切なものを壊していく。 光は、大切なものを奪っていく。 塵と化した…

象牙の塔

居場所はない。 拠り所もない。 行くべき場所はない。 帰るべき場所もない。 救われたいわけではない。 満たされたいわけでもない。 何処かに行きたいわけではない。 何処かに帰りたいわけでもない。 誰も分かってくれない。 誰も代わってくれない。 誰も教…

匿名希望

泣いて許されるのなら、とうの昔に泣いている。 忘れて救われるのなら、とうの昔に忘れている。 死んで報われるのなら、とうの昔に死んでいる。 消えて愛されるのなら、とうの昔に消えている。 僕が泣いたところで、何も変わらない。 僕が忘れたところで、何…

ライター

何度も、手紙を書いた。 夜が明けるまで書いた。 涙が止まるまで書いた。 紙が擦り切れるまで書いた。 心が焼き切れるまで書いた。 涙では終わらせてはいけない想いがある。 涙では終わらせることが出来ない想いがある。 ただそれだけが、書く理由だ。 ただ…

椅子の主

この世に生まれ落ちた瞬間、一つの席を与えられた。 臆病者の席だ。 傍観者の席だ。 半端者の席だ。 敗北者の席だ。 選んだ覚えはない。 望んだ覚えもない。 選ばれた覚えはない。 望まれた覚えもない。 自分で選んだ席ではないから、満たされない。 自分が…

月が輝いている

今宵も、月が輝いている。 今宵も、満たされた顔で此方を見下している。 全くもって、気に入らない。 直ぐにでも、彼処から引き摺り下ろしてやりたい。 一人では輝くことも出来ない癖に、満たされた顔で僕を見下ろすな。 僕と似ている癖に、満たされた顔で僕…

液晶の住人より

いつもそうだ。 終わりは、突然だ。 終わりは、残酷だ。 いつもそうだ。 日常は驚くほど、容易く崩れ去る。 日常は呆れるほど、容易く壊される。 いつもそうだ。 理不尽な現実を、受け止めることしか出来ない。 理不尽な現実を、受け入れることしか出来ない…

星に願いを

煌々と輝く星を数えている。 煌々と瞬く星を眺めている。 才能と細胞を燃やしながら、輝いている。 感性と哲学を振り翳しながら、瞬いている。 次々と死んでいく星を数えている。 次々と消えていく星を眺めている。 才能と細胞に焦がれたまま、死んでいく。 …

ヒーロー

子どもの頃は、数え切れないくらい沢山の夢を抱いていた。 子どもの頃は、信じられないくらい沢山の夢を描いていた。 先生になりたかった。 医者になりたかった。 音楽家になりたかった。 ヒーローになりたかった。 強い人になりたかった。 優しい人になりた…

時計仕掛けの空論

ひとりの夜は長過ぎて、あなたのことを思い出す。 目を閉じれば、あなたの顔ばかりが蘇る。 目を閉じれば、あなたの匂いばかりが蘇る。 目を閉じれば、あなたの温もりばかりが蘇る。 目を閉じれば、あなたと過ごした日々ばかりが蘇る。 瞼の裏に張り付いたあ…

幸福論

誰もが幸せならば、誰かと笑い合うことはない。 誰もが幸せならば、誰かと語り合うことはない。 誰もが幸せならば、誰かと寄り添うことはない。 誰もが幸せならば、誰かと愛し合うことはない。 誰もが幸せならば、幸せを探し求めることはない。 誰もが幸せな…

あの日、僕は

あの日、僕は泣かなかった。 現実を受け入れたくなかったから。 あの日、僕は泣かなかった。 悲しみを受け止めたくなかったから。 あの日、僕は泣かなかった。 感情を曝け出すことが恥ずかしいことだと思っていたから。 あの日、僕は泣かなかった。 涙と一緒…

彼女のいない世界で

二〇一七年七月二日。 一年前の今日、僕は大切な家族を失った。 彼女は、人間ではない。 だけど、僕にとっては長い時間を共に過ごした大切な家族だった。 誰よりも活発で。 誰よりも好奇心旺盛で。 誰よりも臆病で。 誰よりも一生懸命で。 誰よりも正直で。 …

何も知らない

僕は、知っている。 醜さを、知っている。 劣等感を、知っている。 嫉妬を、知っている。 裏切りを、知っている。 焦燥感を、知っている。 憂鬱を、知っている。 虚無を、知っている。 恨みを、知っている。 不安を、知っている。 疑念を、知っている。 躊躇…

孤独な戦場

嘘の付き合いなど要らない。 傷の付け合いなど要らない。 只の馴れ合いなど要らない。 傷の舐め合いなど要らない。 邂逅が別れの合図だと言うならば、邂逅など要らない。 休息が終幕の号令だと言うならば、休息など要らない。 安心が物語の結末だと言うなら…

サイレン

サイレンが、鳴り響いている。 汚すことに慣れ過ぎた。 汚されることに慣れ過ぎた。 傷付けることに慣れ過ぎた。 傷付けられることに慣れ過ぎた。 騙すことに慣れ過ぎた。 騙されることに慣れ過ぎた。 裏切ることに慣れ過ぎた。 裏切られることに慣れ過ぎた…

似ている

初めて息をした時、世界の味を知った。 初めて恋をした時、世界の色を知った。 初めて夢を見た時、世界の光を知った。 初めて嘘を吐いた時、世界の闇を知った。 世界は苦くて、甘い。 世界は汚くて、美しい。 世界は明るくて、眩しい。 世界は暗くて、優しい…

模倣犯

始まりは、ただの憧れだった。 あの人のようになりたかった。 あの人のように生きたかった。 本当に、ただそれだけだった。 あの人のようにすれば、あの人のようになれる。 あの人のようにすれば、あの人のように生きられる。 あの人のようになれば、笑われ…

鏡の中の最終戦争

嘘吐きは泥棒の始まりだと言っていたのは、何処のどいつだ。 今日も平気な顔をして嘘を垂れ流しているのは、何処のどいつだ。 どうして、自分を捨てて生きるようになってしまったのだ。 どうして、人を傷付けて生きるようになってしまったのだ。 正直者が馬…

造花として

造花として、この世に生まれた。 造花として、この世で生きている。 自らの意志で咲くことは出来ない。 自らの意志で枯れることも出来ない。 自らの意志で散ることは出来ない。 自らの意志で還ることも出来ない。 水も、光も、土も、風も。 この世の美しいも…

教室という名の水槽

気が付いたら、其処に居た。 規則正しく並べられた、机と椅子。 一段高い所からその存在を主張する、教卓と黒板。 木造の空間を支配する、埃とチョークの匂い。 過ぎ行く時間を断ち切ろうと企む、チャイムの音。 水槽の中で飼われている魚のような、息苦しい…

瓦礫の下で

瓦礫の下で、生きている。 薄暗く、窮屈な世界で、生きている。 泥水を啜って、生きている。 地面に這い蹲って、生きている。 あの日からずっと変わらない空の重力に、押し潰されそうだ。 あの日からずっと描いていた夢の残骸に、押し潰されそうだ。 あの日…

運命

散々、傷付けた。 散々、傷付いた。 散々、間違えた。 散々、後悔した。 散々、失った。 散々、迷った。 散々、繰り返した。 散々、遠回りした。 ようやく辿り着いたこの場所で、僕は生きている。 この場所に辿り着いたのは、偶然なのだろうか。 この場所に…

何者

"普通"って何だろう。 "普通"であることが、そんなに偉いことなのだろうか。 "普通"であることが、そんなに正しいことなのだろうか。 "普通"に生きろとあなたは言うが、その"普通"が僕には分からない。 "普通"に生きられない僕は、一体どうすれば良いのだろ…

こだま

はじめに。 この記事を読んでくれているあなた。 この記事を拾い上げてくれたあなた。 僕を見つけてくれたあなた。 僕と出会ってくれたあなた。 今、あなたが此処にいてくれることを嬉しく思います。 今、あなたが其処にいてくれたことを嬉しく思います。 心…