木霊、言霊。

備忘録か、遺言か、ラブレターか。

液晶の住人より

いつもそうだ。

 

終わりは、突然だ。

終わりは、残酷だ。

 

いつもそうだ。

 

日常は驚くほど、容易く崩れ去る。

日常は呆れるほど、容易く壊される。

 

いつもそうだ。

 

理不尽な現実を、受け止めることしか出来ない。

理不尽な現実を、受け入れることしか出来ない。

 

いつもそうだ。

 

肝心な時ほど、何も言えない。

肝心な時ほど、何も出来ない。

 

 

 

液晶に張り付いて、傍観している。

液晶に住み着いて、安心している。

 

感情論を掲げて、同情している。

常套句を並べて、満足している。

 

ここまで腐った心では、誰かに寄り添うことは出来ない。

ここまで腐った心では、誰にも寄り添うことが出来ない。

 

拾った言葉では、誰かの悲しみを殺すことは出来ない。

貰った言葉では、誰かの苦しみを癒すことは出来ない。

 

 

 

ちゃんと分かち合うことが出来ないことを、どうか許して下さい。

ちゃんと分かり合うことが出来ないことを、どうか許して下さい。

 

何も出来ないことを、どうか許して下さい。

 

 

 

止まない雨がないように。

明けない夜がないように。

醒めない夢がないように。

枯れない花がないように。

 

終わらないものなど、何処にもない。

 

そんな慰めの言葉では、あなたの涙は渇かない。

そんな気休めの言葉では、あなたの心は潤わない。

 

顔も知らない人のために贈ることの出来る言葉が、何もない。

名前も知らない人のために贈ることの出来る言葉が、何もない。

 

あなたの悲しみを殺す言葉を、僕は知らない。

あなたの苦しみを癒す言葉を、僕は知らない。

 

 

 

消えない罪があるように。

癒えない傷があるように。

折れない夢があるように。

褪せない歌があるように。

 

変わらないものなら、何処かにある。

 

そんな慰めの言葉で、あなたの涙が渇くのなら。

そんな気休めの言葉で、あなたの心が潤うのなら。

 

顔を知らないからこそ、贈ることの出来る言葉があるのなら。

名前を知らないからこそ、贈ることの出来る言葉があるのなら。

 

あなたの悲しみを殺すことが出来るまで、言葉を綴り続けよう。

あなたの苦しみを癒すことが出来るまで、言葉を紡ぎ続けよう。

 

 

 

それ以外、僕には何も出来ない。

 

何も出来ないことを、どうか許して下さい。

 

 

 

顔も知らないあなたよ、どうか死なないで下さい。

 

名前も知らないあなたよ、どうか生きていて下さい。

 

 

 

 

 

液晶の住人より。