陰を生きる
街灯に群がる羽虫のように、光にその身を灼かれている。
太陽に焦がれた咎人のように、光にその心を奪われている。
光は、残酷なくらいに優しい。
光は、冷酷なくらいに眩しい。
光は、大切なものを壊していく。
光は、大切なものを奪っていく。
塵と化した羽の在り処を、ずっと探している。
灰と化した心の捨て場を、ずっと探している。
光の中で壊したものを、光の届かない場所で癒している。
光の中で見失ったものを、光の届かない場所で探している。
闇の中で、光の殺し方を探している。
日陰の中で、日向の壊し方を探し続けている。
光の中では、光を知ることは出来ない。
闇の中でこそ、光を知ることが出来る。
闇を知る者だけが、光を知ることが出来る。
日陰を知る者だけが、日向を知ることが出来る。
優し過ぎる光は、身を灼き尽くす。
眩し過ぎる光は、心を喰い尽くす。
光の陰には、闇が潜んでいる。
光は、闇を孕んでいる。
光を生きる為に、闇を生きろ。
日向で生きる為に、日陰を生きろ。