木霊、言霊。

備忘録か、遺言か、ラブレターか。

ヒーロー

子どもの頃は、数え切れないくらい沢山の夢を抱いていた。

子どもの頃は、信じられないくらい沢山の夢を描いていた。

 

先生になりたかった。

医者になりたかった。

楽家になりたかった。

ヒーローになりたかった。

 

強い人になりたかった。

優しい人になりたかった。

気高い人になりたかった。

格好良い人になりたかった。

 

夢が変わることはあっても、夢を捨てたことはなかった。

夢が終わることはあっても、夢が尽きることはなかった。

 

子どもの頃は、夢と共に生きていた。

子どもの頃は、夢と共に生きていくものだと思っていた。

 

夢と共に生きることが、当たり前のことなのだと思っていた。

 

いつの間にか、夢の描き方を忘れてしまった。

いつの間にか、現実を見据えて生きるようになった。

 

いつの間にか、僕は大人になった。

 

何度も挫けそうになった。

何度も挫けてしまった。

 

逃げることを覚えた。

捨てることを覚えた。

諦めることを覚えた。

誤魔化すことを覚えた。

 

 

夢から目を逸らす言い訳を探す、つまらない大人になってしまった。

現実と向き合うことを言い訳にする、くだらない大人になってしまった。

 

先生にはなれなかった。

医者にもなれなかった。

楽家にもなれなかった。

ヒーローにもなれなかった。

 

強い人にはなれなかった。

優しい人にもなれなかった。

気高い人にもなれなかった。

格好良い人にもなれなかった。

 

夢からも、現実からも見放されてしまった。

 

 

 

大人になるにつれて、綺麗事は裏を疑われるようになる。

大人になるにつれて、理想論は鼻で笑われるようになる。

 

綺麗事だけでは生きていけないことは分かっている。

理想論だけでは生きていけないことは分かっている。

 

綺麗事が疑われるような世界で、夢を抱き続けることは難しい。

理想論が笑われるような世界で、夢を描き続けることは難しい。

 

それでも、綺麗事を信じる事の出来る弱さを持つ者こそが、本物のヒーローなのではないだろうか。

それでも、夢を抱き続ける事の出来る強さを持つ者こそが、本物のヒーローなのではないだろうか。

それでも、理想論を唱える事の出来る弱さを持つ者こそが、本物のヒーローなのではないだろうか。

それでも、夢を描き続ける事の出来る強さを持つ者こそが、本物のヒーローなのではないだろうか。

 

 

 

何度も挫けそうになった。

何度も挫けてしまった。

 

逃げることを覚えた。

捨てることを覚えた。

諦めることを覚えた。

誤魔化すことを覚えた。

 

夢から目を逸らす言い訳を探す、つまらない大人になってしまった。

現実と向き合うことを言い訳にする、くだらない大人になってしまった。

 

あの日思い描いていたヒーローの姿とは随分違うけれど、そんな歪なヒーローがいても良いのではないだろうか。

 

誰もが憧れるヒーローにはなれないかもしれないけれど、自らが憧れるヒーローになら僕もなれるのではないだろうか。

 

 

 

やっぱり僕は、ヒーローになりたい。

 

 

 

 

 

夢を抱くことはこの世に生まれた者の特権だ。

夢を描くことはこの世で生きている者の特権だ。

 

性別も、年齢も、職業も、国籍も、関係ない。

内容も、目的も、規模も、動機も、関係ない。

 

青臭いと言われても構わない。

叶わない願いだと言われても構わない。

綺麗事だと疑われても構わない。

理想論だと笑われても構わない。

 

何があっても、夢を捨てることはない。

何があっても、夢を恥じることはない。

 

もう一度、夢を抱こう。

もう一度、夢を描こう。

 

 

 

どうせ生きるなら、夢のある時間を。

どうせ死ぬのなら、夢のある人生を。