心臓
どうして、もう少しあなたの声に耳を澄ませておかなかったのだろう。
どうして、もう少しあなたの言葉に耳を傾けておかなかったのだろう。
どうして、あなたの悲鳴に気が付くことが出来なかったのだろう。
どうして、あなたの孤独に気が付くことが出来なかったのだろう。
あなたと過ごした生活は、もう二度と戻ることはない。
あなたと交わした約束は、もう二度と果たされることはない。
あなたがくれた温もりは、もう此処にはない。
あなたがくれた幸せは、もう何処にもない。
最期の声だと知っていたなら、あなたの声に耳を澄ますことが出来たのだろうか。
最期の言葉だと知っていたなら、あなたの言葉に耳を傾けることが出来たのだろうか。
最期の声だと知っていたなら、あなたの悲鳴に気が付くことが出来たのだろうか。
最期の言葉だと知っていたなら、あなたの孤独に気が付くことが出来たのだろうか。
あなたと過ごした生活は、もう二度と戻ることはない。
あなたと交わした約束は、もう二度と果たされることはない。
あなたがくれた温もりは、もう此処にはない。
あなたがくれた幸せは、もう何処にもない。
あなたのいない世界で生きていることが、とても虚しい。
あなたのいない世界を生きていくことが、とても悲しい。
あなたは、こんな僕を笑うだろうか。
あなたは、こんな僕を叱るだろうか。
あなたは、こんな僕を許してくれるだろうか。
あなたは、こんな僕を愛してくれるだろうか。
僕の唇は、赤黒い血で染められている。
僕の舌の根は、青白い胃液に溶かされている。
僕の唇からは、鉄の味がする。
僕の舌の根からは、酸の味がする。
鉄の味は、僕の罪だ。
酸の味は、僕の罰だ。
僕の罪は、この運命だ。
僕の罰は、この絶望だ。
この腐敗した血液を全て搾り尽くすくらいの想いがあれば、この運命を呪うことが出来るのだろうか。
この腐敗した血液を全て搾り尽くすくらいの想いがあれば、この絶望を愛することが出来るのだろうか。
僕も、いつかは生活を取り戻すことが出来るのだろうか。
僕も、いつかは約束を取り戻すことが出来るのだろうか。
僕も、いつかは温もりを取り戻すことが出来るのだろうか。
僕も、いつかは幸せを取り戻すことが出来るのだろうか。
僕も、いつかは心臓を取り戻すことが出来るのだろうか。
運命には、舌打ちを。
絶望には、口付けを。