木霊、言霊。

備忘録か、遺言か、ラブレターか。

こだま

はじめに。

 

 

 

この記事を読んでくれているあなた。

この記事を拾い上げてくれたあなた。

 

僕を見つけてくれたあなた。

僕と出会ってくれたあなた。

 

今、あなたが此処にいてくれることを嬉しく思います。

今、あなたが其処にいてくれたことを嬉しく思います。

 

心から、あなたに感謝します。

本当に、ありがとうございます。

 

 

 

僕を見つけてくれた、あなたへのけじめとして。

僕と出会ってくれた、この瞬間を一つの節目として。 

 

少しだけ、自分のことを話そうと思います。

少しだけ、今までのことを話そうと思います。

 

上手く書けるかは分からないけれど、頑張って書きます。

上手く纏まるかは分からないけれど、頑張って纏めます。 

 

どうか、最後の一文字までお付き合い頂けると嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

 

こだま、と名乗っている。

お察しの通り、偽名だ。

 

関西の、都会でも無く田舎でも無い、小さな街に住んでいる。

 

少し前まで、バンド活動をしていた。

所謂、売れないバンドマンという奴だ。

 

ある日、音楽の魔法に魅せられて以来、狂ったように音楽を聴き漁った。

そして、その初期衝動に促されるまま、音楽の世界に飛び込んだ。

 

 

 

初めて本気で好きになったものが、音楽だった。

初めて本気で目指したいと思った夢が、音楽だった。

 

白と黒しか無かった世界に、色が付いた。

死ぬ為だけに生きていた僕に、生きる理由が出来た。

 

 

 

練習する。

成長する。

バンドを組む。

ライブに出る。

曲を作る。

歌詞を書く。

展開や構成を練る。

楽器のフレーズを作り込む。

レコーディングをする。

CDを作る。

イベントを企画する。

ツアーに行く。

打ち上げに出る。

ボロボロになるまで酒を飲む。

夜が明けるまで語り合う。

友達が出来る。

知らない街を好きになる。

知らない人を好きになる。

  

ずっとお金は無かったけれど、不思議と心は満たされていた。

ずっと鳴かず飛ばずだったけれど、それでも僕は幸せだった。

 

何もかもが新鮮で、何もかもが刺激的だった。

何もかもが最低で、何もかもが最高だった。

 

文字通り音楽に全てを捧げる生活が、僕の誇りだった。

 

毎日が、僕の青春だった。

全てが、僕の宝物だった。

 

 

 

何も分からないなりに、精一杯頑張ってきたつもりだった。

だけど、僕は何処かで頑張り方を間違えてしまったらしい。

 

やりたいことがあるのに、やりたいことが出来ない状況になっていた。

やり残したことがあるのに、それをやり切ることが出来ない状況になっていた。

 

気が付いたら、追い込まれていた。

気が付いたら、追い詰められていた。

 

選択の余地など何処にも無い、決断を迫られた。

 

自分で招いた結末だと、僕は夢を一つ諦めた。

 

現実に押し潰されて、僕は夢を一つ手放した。

 

僕は、挫折した。

 

 

 

 

 

僕はたった一つの夢を守れなかった、ただの負け犬だ。

僕は普通にも特別にもなれなかった、ただの社会不適合者だ。

僕は死ぬ勇気も生きる覚悟も持てないまま生きている、ただの半端者だ。

僕は挫折と絶望の淵で見つけた新たな夢を育てている、ただの夢追い人だ。

 

命を捨てるには、大切なものが増え過ぎた。

命を燃やすには、大切なものを失くし過ぎた。

 

 

 

全てが、少しずつ変わっていく。

全てが、少しずつ終わっていく。

 

全ては、少しずつ変わっていく。

全ては、少しずつ終わっていく。

 

それがきっと、抗いようの無い現実だ。

それはきっと、変えようの無い真実だ。

 

それでも、全てを無かったことになんて出来ない。

それでも、全てを無かったことになんてしたくない。

 

 

 

だから、記すのだ。

だから、遺すのだ。

 

此処に備忘録として記した言葉の軌跡が、あなたへの遺言になるように。

此処に備忘録として遺した心の切れ端が、あなたへのラブレターになるように。

 

一生消えない傷を知らないあなたへ。

生きたい人を殺せるような言葉を。

 

一生消えない傷を背負ったあなたへ。

死にたい人を救えるような言葉を。

 

 

 

 

 

木霊する耳鳴りが消えるその時まで、五線譜を涙で飾り付けよう。

木霊する耳鳴りが消えるその時まで、五線譜にあなたを刻み付けよう。

 

 

 

 

 

元バンドマン。

 

現負け犬。

 

名は、こだま。

 

以後、お見知り置きを。