木霊、言霊。

備忘録か、遺言か、ラブレターか。

ライター

何度も、手紙を書いた。

 

夜が明けるまで書いた。

涙が止まるまで書いた。

紙が擦り切れるまで書いた。

心が焼き切れるまで書いた。

 

涙では終わらせてはいけない想いがある。

涙では終わらせることが出来ない想いがある。

 

ただそれだけが、書く理由だ。

ただそれだけが、生きる理由だ。

 

 

 

何度も、手紙を捨てた。

 

夜が終わらないから捨てた。

涙が止まらないから捨てた。

紙が擦り切れたから捨てた。

心が焼き切れたから捨てた。

 

言葉にならない想いがある。

言葉に出来ない想いがある。

 

ただそれだけが、書く理由だ。

ただそれだけが、生きる理由だ。

 

 

 

届かない手紙に、一体どんな価値があるのかは分からない。

伝わらない想いに、一体どんな意味があるのかは分からない。

 

宛名のない手紙が、誰かの涙を拭うことが出来るのかは分からない。

行場のない想いが、誰かの心を救うことが出来るのかは分からない。

 

己が書いた言葉に、命が宿るのかは分からない。

己が叫んだ想いに、命が宿るのかは分からない。

 

それでも、書き続けるしかない。

それでも、生き続けるしかない。

 

 

 

届かない手紙にどんな価値があるのか、僕はそれが知りたい。

伝わらない想いにどんな意味があるのか、僕はそれが知りたい。

 

宛名のない手紙が誰に届くのか、僕はそれが知りたい。

行場のない想いが何処に響くのか、僕はそれが知りたい。

 

己が書いた言葉に命が宿るのか、僕はそれが知りたい。

己が叫んだ想いに命が宿るのか、僕はそれが知りたい。

 

それだけが、僕の生きる理由だ。

それこそが、僕の生きる理由だ。

 

 

 

言葉は誰かを傷付ける刃物である。

言葉は誰かを包み込む毛布である。

 

言葉は誰かの道を閉ざす呪詛である。

言葉は誰かの道を照らす灯火である。

 

使い方次第で、全く違う顔を見せる。

選び方次第で、全く違う顔を見せる。

 

使う人間次第で、全く違う姿を見せる。

選ぶ人間次第で、全く違う姿を見せる。

 

 

 

言葉を綴るということは、生き様を晒す行為だ。

言葉を綴るということは、生き恥を晒す行為だ。

 

 

 

言葉は、人生の証人だ。

言葉は、人生の罪人だ。

 

 

 

言葉は、存在の証明だ。

 

 

 

人生の数だけ言葉がある。

言葉の数だけ人生がある。

 

 

 

 

 

言葉を記せ。

言葉を燃やせ。

 

心を叫べ。

心を焦がせ。