木霊、言霊。

備忘録か、遺言か、ラブレターか。

時計仕掛けの空論

ひとりの夜は長過ぎて、あなたのことを思い出す。

 

目を閉じれば、あなたの顔ばかりが蘇る。

目を閉じれば、あなたの匂いばかりが蘇る。

目を閉じれば、あなたの温もりばかりが蘇る。

目を閉じれば、あなたと過ごした日々ばかりが蘇る。

 

瞼の裏に張り付いたあなたの残像が、何をしている時も消えてくれない。

 

あなたを道連れにして、どれだけの日々を越えたのだろう。

あなたを置き去りにして、どれだけの日々を越えるのだろう。

 

あなたと生きたこれまでの日々が愛しくて、泣いてしまいたくなる。

あなたのいないこれからの日々が哀しくて、泣いてしまいたくなる。

 

ずっと、一緒にいたかった。

もっと、一緒にいたかった。

 

さよならなんて、知りたくなかった。

 

 

 

あなたと同じ場所に行く為に、僕は生きている。

あなたと同じ場所で笑う為に、僕は生きている。

 

時計仕掛けの人生の終着駅で、生きる理由をずっと探し続けている。

 

行くか、戻るか。

やるか、やめるか。

生かすか、殺すか。

生きるか、死ぬか。

 

時計仕掛けの人生の終着駅で、終わりのない自問自答をずっと繰り返している。

 

あなたは、もういないのに。

 

何もかも、机上の空論だ。

 

延々と繰り返される脳内会議も、いつかは終わる。

延々と繰り返される弾劾裁判も、いつかは終わる。

 

何もかも、時計仕掛けの空論だ。

 

 

 

 

 

明日が続いていくのなら、思い出なんていらない。

あなたがここにいないのなら、思い出なんていらない。

 

あなたのいない世界に、一体どれだけの価値があるというのだろう。

あなたのいない世界に、一体どれだけの意味があるというのだろう。

 

あなたのいない世界で、一体どれくらいあなたを想えばいいのだろう。

あなたのいない世界で、あとどれくらい生きていかなければならないのだろう。

 

 

 

思い出なんていらないから、もう一度だけあなたに会いたい。

 

 

 

 

 

思い出なんて、消えてしまえ。