木霊、言霊。

備忘録か、遺言か、ラブレターか。

2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

木漏れ日

いつまでも、あなたと手を繋いで。 いつまでも、あなたと背を比べて。 いつまでも、あなたと夢を見て。 いつまでも、あなたの傍にいて。 そんな風に、汚し合っていたかった。 そんな風に、笑い合っていたかった。 そんな風に、語り合っていたかった。 そんな…

生活

仕方なく夜が来るから、仕方なく眠るように。 仕方なく朝が来るから、仕方なく起きるように。 仕方なく傷を負うから、仕方なく休むように。 仕方なく腹が減るから、仕方なく食べるように。 仕方なく恋をするから、仕方なく憂うように。 仕方なく人を知るから…

前線へ告ぐ

靴紐を結んでいるのは誰の為。 姿勢を正しているのは誰の為。 時計を睨んでいるのは誰の為。 礼儀を学んでいるのは誰の為。 親指を噛んでいるのは誰の為。 笑顔を歪めているのは誰の為。 札束を数えているのは誰の為。 道化を演じているのは誰の為。 文集を…

アクセサリー

誰かの道具になる為に生まれたのではない。 誰かの荷物になる為に生まれたのではない。 誰かに媚びを売る為に生まれたのではない。 誰かの真似をする為に生まれたのではない。 誰かの不幸を笑う為に生まれたのではない。 誰かの幸福を願う為に生まれたのでは…

言ったじゃないか

恋人を作れば分かると言ったじゃないか。 手紙を書けば分かると言ったじゃないか。 友達に聞けば分かると言ったじゃないか。 文集を読めば分かると言ったじゃないか。 場数を踏めば分かると言ったじゃないか。 明日が来れば分かると言ったじゃないか。 大人…

ドライアイス

孤独に濡れた心臓が凍て付いて、掌を擦り続けている。 容易く傷付いてしまうから、孤独なままが良かった。 孤独に慣れた心臓が焼け付いて、拳を握り締めている。 容易く傷付けてしまうから、孤独なままが良かった。 温度を求めた心臓が泣き付いて、腰を振り…

夏が過ぎても、声を聴いても。 雨に濡れても、風に揺れても。 冬が過ぎても、恋に泣いても。 夜が更けても、肌に触れても。 心の隙間が埋まらない。 何を飲んでも、何を吐いても。 何を書いても、何を消しても。 何を作っても、何を壊しても。 何を求めても…

結局、

空気を読めと言われ続けて。 本音を吐けと言われ続けて。 自信を持てと言われ続けて。 敬意を払えと言われ続けて。 旅人であれと言われ続けて。 大人になれと言われ続けて。 命を生かせと言われ続けて。 心を捨てろと言われ続けて。 その全てを受け入れて生…

標本

この声が枯れることのないように、涙という釘を刺す。 この歌が褪せることのないように、情という釘を刺す。 この夢が醒めることのないように、嘘という釘を刺す。 この灰が燃えることのないように、戒という釘を刺す この傷が癒えることのないように、生と…

海月

いずれは落ちる、コインのように。 いずれは朽ちる、落ち葉のように。 表も裏もなく、願っていたい。 嘘も誠もなく、笑っていたい。 いずれは馴染む、忌み名のように。 いずれは溶ける、海の月のように。 光も陰もなく、歌っていたい。 生も死もなく、戦って…

熱病

それは、眼が沸くような。 それは、耳が鳴るような。 それは、喉が灼けるような。 それは、頬が爛れるような。 それは、肉が腐るような。 それは、骨が軋むような。 それは、頭が割れるような。 それは、軀が燃えるような。 揺れる視界の中で、夢を見ている…

胡蝶の夢

また、この夢だ。 思うように思考を纏めることが出来ない。 思うように身体を動かすことが出来ない。 思うように言葉を紡ぐことが出来ない。 思うように表情を作ることが出来ない。 どうして、あと一言を言い出すことが出来ない。 どうして、あと一歩を踏み…

珈琲

珈琲を苦いと思わなくなった時。 少しだけ、大人になれた気がした。 夜空を暗いと思わなくなった時。 少しだけ、孤独に慣れた気がした。 夢想を尊いと思わなくなった時。 少しだけ、現実を知った気がした。 自分を強いと思わなくなった時。 少しだけ、真実に…

カウントダウン

止まらぬ季節の道端で、時計の針に目を凝らしている。 終わらぬ世界の片隅で、鼓動の音に耳を澄ませている。 遠い日の面影が、じっと睨み付けてくる。 遠い日の面影が、そっと語り掛けてくる。 変わらぬ景色の庭園で、孤独の沼に足を取られている。 染まらぬ…

生涯泥棒

誰かの初恋を盗む。 誰かの失恋を盗む。 誰かの憂鬱を盗む。 誰かの不安を盗む。 誰かの反省を盗む。 誰かの後悔を盗む。 誰かの言葉を盗む。 誰かの感情を盗む。 誰かの憧憬を盗む。 誰かの喪失を盗む。 誰かの不幸を盗む。 誰かの幸福を盗む。 誰かの絶望…

二束三文

金にもならない顔を洗って、 金にもならない髪を梳いて、 金にもならない垢を落して、 金にもならない糞を出して、 金にもならない詩を書いて、 金にもならない歌を作って、 金にもならない舞を踊って、 金にもならない絵を描いて、 金にもならない汗を流し…

輪郭を失くした、その後で

ファインダーばかりを覗き込んでいた。 大切な笑顔を、残しておきたかった。 大切な景色を、残しておきたかった。 ファインダーばかりを覗き込んでいた。 大切な時間を、残しておきたかった。 大切な瞬間を、残しておきたかった。 ファインダーばかりを覗き…

風船

ありとあらゆる感情を飲み込んで。 ありとあらゆる現状を受け入れて。 ありとあらゆる幻想を飲み込んで。 ありとあらゆる現実を受け入れて。 膨れ上がったこの心で、何処まで飛べるのだろう。 膨れ上がったこの心で、何処まで行けるのだろう。 破裂しそうな…

失敗作

悉く夢想する。 悉く悲観する。 悉く弁解する。 悉く逃避する。 真っ当な人間になりたかった。 欠陥品に、何が出来る。 悉く失敗する。 悉く後悔する。 悉く持戒する。 悉く喪失する。 真っ当な人間でありたかった。 粗悪品に、何が出来る。 その口で何が言…

或る時は、寄せては返す波のように。 或る時は、凪いでは戦ぐ風のように。 或る時は、晴れては曇る空のように。 或る時は、浮いては沈む月のように。 或る時は、解けても結ぶ糸のように。 或る時は、折れても尖る針のように。 或る時は、脱げても纏う衣のよ…

涙が止まらないのは、きっと雨の所為だ。 何も見えなかったのは、きっと雨の所為だ。 何も知らなかったのは、きっと雨の所為だ。 何も言えなかったのは、きっと雨の所為だ。 何も出来なかったのは、きっと雨の所為だ。 涙が止まらないのは、きっと雨の所為だ…

告解

天邪鬼で、ごめんなさい。 嘘吐きで、ごめんなさい。 臆病者で、ごめんなさい。 半端者で、ごめんなさい。 妄言ばかりで、ごめんなさい。 戯言ばかりで、ごめんなさい。 我儘ばかりで、ごめんなさい。 理想ばかりで、ごめんなさい。 何も言えなくて、ごめん…

泥曰

その身に白を纏う。 その首に白を結ぶ。 その肌に花を飾る。 その目に涙が滲む。 これからの、あなたを想う。 その身に黒を纏う。 その首に黒を結ぶ。 その肌に花を飾る。 その目に涙が滲む。 これまでの、あなたを想う。 誰かにとっての寧日は、誰かにとっ…

詩人の数式

どれだけ言葉を学んでも、あなたを識るに値しない。 どれだけ言葉を比べても、あなたを量るに値しない。 どれだけ言葉を連ねても、あなたを記すに値しない。 どれだけ言葉を集めても、あなたを飾るに値しない。 どれだけ言葉を選んでも、あなたを想うに値し…

後悔に愛されている

ずっと、後悔している。 自分とばかり慰め合って生きてきたこと。 他人とばかり罵り合って生きてきたこと。 過去とばかり慰め合って生きてきたこと。 未来とばかり罵り合って生きてきたこと。 ずっと、後悔している。 あなたに手を差し延べられなかったこと…

有象無象

人を虐げてはいけません。 人を壊してはいけません。 人を騙してはいけません。 人を疑ってはいけません。 人を恨んではいけません。 人を恐れてはいけません。 人を憎んではいけません。 人を殺してはいけません。 絵空事だ、と流されるだろうか。 綺麗事だ…

消えてしまうかもしれない

悲報だとか、凶報だとか。 朝、目が覚めたら最低なニュースは消えてくれるかもしれない。 朗報だとか、吉報だとか。 朝、目が覚めたら最高なニュースは消えてしまうかもしれない。 悪夢だとか、凶夢だとか。 夜、目を閉じたら最低な物語が始まりを告げるかも…

水鏡

身に余る富は持てず。 身に余る位は持たず。 身に余る情は持てず。 身に余る欲は持たず。 身に余る才は持てず。 身に余る夢は持たず。 身に余る心は持てず。 身に余る己は持たず。 完璧な人にはなれず。 完璧な人などあらず。 完璧な命にはなれず。 完璧な命…

その先へ

全てを売り払ってでも買い取りたい物があるか。 全てを脱ぎ捨ててでも添い遂げたい者がいるか。 全てを明け渡してでも言い切りたい心があるか。 全てを投げ捨ててでも成し遂げたい夢があるか。 全てを抱え切れずとも受け止めたい物があるか。 全てを犠牲にし…

一色

恐れを知らない馬鹿者で在りたい。 汚れを知らない偽善者で在りたい。 矜持を捨てない好事家で在りたい。 野心を捨てない負け犬で在りたい。 飾り気を捨てた飾り物で在りたい。 直す気も失せる壊れ物で在りたい。 混じり気の無い不純物で在りたい。 朽ちる気…