木霊、言霊。

備忘録か、遺言か、ラブレターか。

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

約束

辞めてしまったあいつの為にも。 死んでしまったあいつの為にも。 簡単には辞められないよな。 簡単には捨てられないよな。 泣き続けていたあいつの為にも。 戦い続けていたあいつの為にも。 簡単には割り切れないよな。 簡単には負けられないよな。 簡単に…

もう一度

もう二度と、帰れない家。 もう二度と、眠れない部屋。 もう二度と、訪れない街。 もう二度と、迷えない道。 もう二度と、会えない人。 もう二度と、話せない友。 もう二度と、見れない顔。 もう二度と、聞けない声。 もう二度と、動けない足。 もう二度と、…

後の祭り

踊っている間に、全てを失くしてしまった。 歌っている間に、全てを失くしてしまった。 遊んでいる間に、全てを失くしてしまった。 笑っている間に、全てを失くしてしまった。 探している間に、全てを失くしてしまった。 選んでいる間に、全てを失くしてしま…

怠惰の代償

何もかも面倒だ。 瞼を開けることが面倒だ。 瞼を閉じることが面倒だ。 目を凝らすことが面倒だ。 目を慣らすことが面倒だ。 口を開くことが面倒だ。 口を噤むことが面倒だ。 話をすることが面倒だ。 話を聞くことが面倒だ。 顔を作ることが面倒だ。 顔を隠…

あの日の僕よ

あの日の僕を、探してくれ。 あの日の僕を、尋ねてくれ。 あの日の僕を、見つけてくれ。 あの日の僕を、見つめてくれ。 あの日の僕を、認めてくれ。 あの日の僕を、愛してくれ。 あの日の僕を、忘れてくれ。 あの日の僕を、分かってくれ。 あの日の僕よ、教…

睡蓮

泥沼の中でも、咲き誇る花であれ。 荒天の中でも、舞い踊る鳥であれ。 戦場の中でも、頬を撫でる風であれ。 暗闇の中でも、道を照らす月であれ。 涙に濡れた世界の中でも、寛容な人であれ。 嘘に塗れた世界の中でも、誠実な人であれ。 夢に破れた世界の中で…

境界線

僕とあなたとでは、顔の形が違う。 僕とあなたとでは、声の色が違う。 僕とあなたとでは、指の長さが違う。 僕とあなたとでは、髪の太さが違う。 僕とあなたとでは、鼻の高さが違う。 僕とあなたとでは、爪の硬さが違う。 僕とあなたとでは、力の強さが違う…

告白

まだ、何も話していない。 まだ、何も聞いていない。 まだ、何も伝えていない。 まだ、何も答えていない。 まだ、何も覚えていない。 まだ、何も忘れていない。 まだ、何も結んでいない。 まだ、何も解いていない。 まだ、何も望んでいない。 まだ、何も失っ…

ピリオド

どうして上手く生きられないのだろう。 どうして上手く消えられないのだろう。 数え切れない疑問符を飲み込んで泣いている。 抱え切れない疑問符を吐き捨てて笑っている。 どうして何も忘れられないのだろう。 どうして何も思い出せないのだろう。 忘れられ…

四季は巡れど

春と呼ぶには、痛過ぎて。 恋と呼ぶには、早過ぎて。 夏と呼ぶには、遠過ぎて。 夜と呼ぶには、浅過ぎて。 秋と呼ぶには、寒過ぎて。 旅と呼ぶには、知り過ぎて。 冬と呼ぶには、長過ぎて。 夢と呼ぶには、脆過ぎて。 待てど暮らせど、あなたは来ない。 寝て…

ドローイング

この筆で描きたいもの。 この紙に遺したいこと。 この線で紡ぎたいもの。 この絵で伝えたいこと。 目を凝らせば凝らすほど、何も見えなくなる。 耳を澄ませば澄ますほど、何も聞こえなくなる。 声を枯らせば枯らすほど、何も言えなくなる。 心を捧げれば捧げ…

神様の天秤

自分の弱さと誰かの弱さ。 自分の強さと誰かの強さ。 自分の短所と誰かの短所。 自分の長所と誰かの長所。 自分の才能と誰かの才能。 自分の感性と誰かの感性。 自分の言葉と誰かの言葉。 自分の個性と誰かの個性。 自分の憧憬と誰かの憧憬。 自分の後悔と誰…

少年

音に埋もれた。 光に焦がれた。 夢に溺れた。 道に迷った。 声を忘れた。 色を失くした。 夢に破れた。 自分に敗れた。 言葉に殺された。 言葉に救われた。 音楽に殺された。 音楽に救われた。 人間に殺された。 人間に救われた。 世界に殺された。 世界に救…

あの頃、この頃

あの頃は大きいと思っていた校舎が、今ではこんなにも小さく感じる。 あの頃は高いと思っていた教壇が、今ではこんなにも低く感じる。 あの頃は遠いと思っていた星が、今ではこんなにも近く感じる。 あの頃は広いと思っていた空が、今ではこんなにも狭く感じ…

無いものねだり

やりたいことばかりだ。 出来ないことばかりだ。 知りたいことばかりだ。 知らないことばかりだ。 言いたいことばかりだ。 言えないことばかりだ。 届けたいことばかりだ。 届かないことばかりだ。 叶えたい夢ばかりだ。 叶わない夢ばかりだ。 泣きたい夜ば…

レイトショー

決して、思い通りの人生ではない。 決して、期待通りの人生ではない。 決して、脚本通りの人生ではない。 決して、幸福ばかりの人生ではない。 決して、挫折をする為に生まれたわけではない。 決して、裏切られる為に生まれたわけではない。 決して、血涙を…

血の繋がり

滔々と流るもの。 脈々と続くもの。 沸々と滾るもの。 赤々と染まるもの。 酸化するもの。 受け継がれるもの。 淘汰されるもの。 美化されるもの。 才能を呪う者。 感性を笑う者。 才能を殺す者。 感性を失う者。 宿命を憎む者。 運命を愛する者。 宿命に死…

革命前夜

一字に心が宿る。 一行に心が宿る。 一瞬に心が宿る。 一生に心が宿る。 一字に命が灯る。 一行に命が灯る。 一瞬に命が灯る。 一生に命が灯る。 心さえ殺せば、上手く笑えるか。 心さえ殺せば、上手く生きられるか。 命さえ生かせば、上手く笑えるか。 命さ…

ジョーカー

浮世に泣いて、浮世を嗤う。 浮世を憂いて、浮世を想う。 己を憎んで、己を愛する。 己を殺して、己を生かす。 誰も代わってくれない。 誰も分かってくれない。 いつも、一人だ。 ずっと、一人だ。 僕は、一人だ。 あなたは、一人だ。 僕も、独りだ。 あなた…

ひぐらしの声

あなたがいなくなって、もう何度目の夏でしょうか。 あの日からずっと、覚めない夢を見ているようです。 あの時は、つまらないことで泣いていました。 あの頃は、くだらないことで笑っていました。 そんな小さな幸せが当たり前のことなどではないと、わたし…

シュレッダー

言葉が、飲み込まれていく。 空白が、飲み込まれていく。 記憶が、飲み込まれていく。 感情が、飲み込まれていく。 一つ、また一つ。 大きな音を立てて、心が飲み込まれていく。 言葉が、引き裂かれていく。 空白が、引き裂かれていく。 記憶が、引き裂かれ…

青い春

痛い。 些細なことで、傷付いた。 些細なことで、傷付けた。 痛い。 何気無い言葉で、傷付いた。 何気無い言葉で、傷付けた。 痛い。 些細な言葉で、傷付き合った。 些細な言葉で、傷付け合った。 痛い。 何気無い言葉で、傷付き合った。 何気無い言葉で、傷…

刹那

刹那。 産声を上げる音。 汚れなき白い音。 誰にも望まれることなく、その生涯は幕を開ける。 誰にも讃えられることなく、その生涯は続いていく。 刹那。 断末魔を上げる音。 錆び付いた黒い音。 誰にも愛されることなく、その生涯は幕を閉じる。 誰にも看取…

アルカナ

ほんの些細な幸福も気付けない癖に。 ほんの些細な幸福を噛み締めて良いものか。 ほんの些細な約束も果たせない癖に。 ほんの些細な約束に生かされて良いものか。 いつかは変わりゆくものだと知っていたなら。 いつかの幸福に気付くことが出来たのだろうか。…

百日紅

もう、何も見ることが出来なくなるんじゃないか。 もう、何も聞くことが出来なくなるんじゃないか。 もう、何も触ることが出来なくなるんじゃないか。 もう、何も話すことが出来なくなるんじゃないか。 もう、何も書くことが出来なくなるんじゃないか。 もう…

モノクロ

もう一度、金色に揺れる稲穂を見たかった。 もう一度、銀色に濡れる砂漠を見たかった。 もう一度、桜色に染まる水面を見たかった。 もう一度、緑色に溶ける木立を見たかった。 あの日、色が消えた。 あの日、光が消えた。 あの日、音が消えた、 あの日、声が…

言葉の森、詩人の墓

綴りたいことは「ありがとう」という言葉だけ。 綴りたいことは「さようなら」という言葉だけ。 綴りたいことは「ごめんなさい」という言葉だけ。 綴りたいことは「また、明日」という言葉だけ。 綴りたいことは、それだけ。 綴りたいことは、ただそれだけ。…

本懐

何かを書くことが出来ず、何かを消すことも出来ない。 何かを作ることが出来ず、何かを壊すことも出来ない。 何かを繋ぐことも出来ず、何かを切ることも出来ない。 何かを結ぶことが出来ず、何かを解くことも出来ない。 全てを許すことが出来ず、全てを拒む…

メメントモリ

あとどれくらい、立っていられるのだろう。 あとどれくらい、座っていられるのだろう。 あとどれくらい、起きていられるのだろう。 あとどれくらい、眠っていられるのだろう。 あとどれくらい、走っていられるのだろう。 あとどれくらい、歩いていられるのだ…

影送り

あの空の向こうに、あなたはいるのだろうか。 どの雲の向こうに、あなたがいるのだろうか。 澄み渡る空の季節を越えて、あなたを探す。 溶け残る雲の隙間を抜けて、あなたを探す。 あの空の向こうには、きっとあなたはいない。 どの雲の向こうにも、きっとあ…