木霊、言霊。

備忘録か、遺言か、ラブレターか。

百日紅

もう、何も見ることが出来なくなるんじゃないか。

もう、何も聞くことが出来なくなるんじゃないか。

もう、何も触ることが出来なくなるんじゃないか。

もう、何も話すことが出来なくなるんじゃないか。

 

もう、何も書くことが出来なくなるんじゃないか。

もう、何も歌うことが出来なくなるんじゃないか。

もう、何も感じることが出来なくなるんじゃないか。

もう、何も信じることが出来なくなるんじゃないか。

 

 

 

もう、僕はとっくの昔に枯れているんじゃないか。

もう、僕はとっくの昔に枯れていたんじゃないか。

もう、僕はとっくの昔に死んでいるんじゃないか。

もう、僕はとっくの昔に死んでいたんじゃないか。

 

もう、僕はとっくの昔に変わっているんじゃないか。

もう、僕はとっくの昔に変わっていたんじゃないか。

もう、僕はとっくの昔に終わっているんじゃないか。

もう、僕はとっくの昔に終わっていたんじゃないか。

 

 

 

もう二度と、夜は明けないんじゃないか。

もう二度と、明日は来ないんじゃないか。

 

 

 

何も怖くない夜なんて、なかった。

何も怖くない朝なんて、なかった。

 

何も怖くない時なんて、なかった。

何も怖くない日なんて、なかった。

 

 

 

毎日、悲しい。

毎日、苦しい。

毎日、悔しい。

毎日、虚しい。

 

 

 

容易く生きれば、容易く吹き消される。

容易く死すれば、容易く片付けられる。

 

容易く生きれば、容易く忘れ去られる。

容易く死すれば、容易く思い出される。

 

 

 

人間なんて、一生不安だ。

人生なんて、一生不安だ。

 

人間なんて、一生不憫だ。

人生なんて、一生不憫だ。

 

 

 

 

 

こんな夜の闇に、潰されてたまるか。

こんな朝の光に、殺されてたまるか。

 

得体の知れない恐怖に、負けてたまるか。

名前も知らない不安に、負けてたまるか。

 

 

 

 

 

僕が死ねない理由は、友達の約束を果たす為だ。

僕が生きたい理由は、友達に遺言を告げる為だ。

 

 

 

残り僅かな昨日を、生きてきた。

残り僅かな今日を、生きている。

 

残り僅かな明日を、生きていく。

残り僅かな未来を、生きていく。 

 

 

 

 

 

百日の向こうで、生きている。

 

百日の向こうへ、生きていく。

 

 

 

 

 

もう、何も怖いものなんてなかった。