木霊、言霊。

備忘録か、遺言か、ラブレターか。

線香花火、最後の夜

ちゃんと、心は決めた。

ちゃんと、覚悟は決めた。

 

それでも、どうしても別れの朝は悲しくなってしまう。

それでも、どうしても最後の夜は愛しくなってしまう。

 

ちゃんと、見送ると決めた。

ちゃんと、見届けると決めた。

 

だけど、きっと目が覚めたらあなたの気配を探してしまう。

だけど、きっと夜が明けたらあなたは何処かへ行ってしまう。

 

 

 

あなたは、もう振り向かない。

あなたは、もう振り返らない。

 

引き止めることなんて、出来ない。

追い掛けることなんて、出来ない。

 

此処からは、一人で歩いて行く。

此処からは、一人で歩いて行ける。

 

これからは、一人で生きていく。

これからは、一人で生きていける。

 

 

 

 

 

ちゃんと、心は決めた。

ちゃんと、覚悟は決めた。

 

それでも、どうしても別れの朝は悲しくなってしまう。

それでも、どうしても最後の夜は愛しくなってしまう。

 

ちゃんと、見送ると決めた。

ちゃんと、見届けると決めた。

 

だから、ずっとあなたの残り香を忘れないように生きていこう。

だから、ずっとあなたの残り火を絶やさないように生きていこう。

 

 

 

 

 

せめて、日が揺れるまでは此処にいて下さい。

せめて、日が暮れるまでは此処にいて下さい。

 

せめて、夜が更けるまでは此処にいて下さい。

せめて、夜が明けるまでは此処にいて下さい。

 

 

 

どうか、日が揺れるまで此処にいさせて下さい。

どうか、日が暮れるまで此処にいさせて下さい。

 

どうか、夜が更けるまで此処にいさせて下さい。

どうか、夜が明けるまで此処にいさせて下さい。

 

 

 

せめて、もう少しだけ。

せめて、あと少しだけ。

 

どうか、もう少しだけ。

どうか、あと少しだけ。

 

 

 

 

 

せめて、この火が落ちるまで。

どうか、この火が消えるまで。

 

 

 

もう、少しだけ。

あと、少しだけ。