木霊、言霊。

備忘録か、遺言か、ラブレターか。

負け犬の遠吠え

勝ち組か負け組かで言えば、僕は間違いなく負け組だ。

 

劣等感が嫌いだった。

心の何処かで羨んでいる自分が悲しくて。

優越感が嫌いだった。

心の何処かで喜んでいる自分が醜くて。

 

比べることにも比べられることにも疲れて、戦うことから逃げ出した。

殺伐とした戦場で戦い続けられるほど、僕は強くなかったのだ。

ただ、生き残る為には最善の策だったと思う。

負け惜しみにしか聞こえないと思うが、時には逃げることも必要なのだ。

 

少し傷は負ったけれど、僕はまだ生きている。

あの頃は、覚悟が足りなかった。

 

 

 

疲れた目をした大人たちは、その場所で戦い続けることを選んだ戦士たちの成れの果てだ。

その目は戦い続けた証だ。

その傷は敬意を払うべき勲章だ。

勝ち負けの問題ではなく、戦い続けるというのは本当に凄いことだ。

ただただ、憧れる。

ただただ、尊敬する。

僕も、本当はそんな風になりたかった。

 

 

 

では、戦いから逃げ出した者はどうだろうか。

戦うことを辞めた者は負けることはないが、勝つことも出来ない。

戦いから逃げ出した者に、幸せは訪れるのだろうか。

逃げ続けたその先に、幸せはあるのだろうか。

 

幸せになれない、とまでは言わない。

幸せの形は人それぞれで、その定義も酷く曖昧なものだから。

 

ただ、少なくとも戦い続けた者たちと同じ幸せを手に入れることは出来ないと思う。

戦い続けたことで得られる幸せは、戦い続けることでしか手に入らないからだ。

逃げ続ける者はもう、逃げ切ることでしか幸せを手に入れられないのだ。

例えるならそれは、甘い蜜の中に隠された毒のようなものなのかもしれない。

 

戦い続けることで得られる幸せと、逃げ続けることで得られる幸せ。

どちらが本物の幸せなのだろうか。

 

一度逃げてしまった僕にはもう、戦い続けることで得られる幸せは手に入らない。

だけど、逃げ続けることで得られる幸せなんて、欲しくない。

 

毒に侵されて朽ち果てるのが先か。

刃に貫かれて動けなくなるのが先か。

何れにせよ、本物の幸せを手に入れる為には戦うしかない。

自分が戦える時に、自分の戦いたい場所で。

 

少し傷は負ったけれど、僕はまだ生きている。

もう、覚悟は出来ている。

 

僕の戦いは、これからだ。

勝つ為ではなく、負けない為に戦うのだ。

 

 

 

負け犬のまま、終わってたまるか。