木霊、言霊。

備忘録か、遺言か、ラブレターか。

思考停止

一日の始まりに食べるものさえ選べない。

一日の終わりに食べるものさえ選べない。

 

一日の始まりに聴く音楽さえ選べない。

一日の終わりに聴く音楽さえ選べない。

 

一日の始まりを彩る空の色さえ選べない。

一日の終わりを彩る空の色さえ選べない。

 

一日の始まりに添える花の色さえ選べない。

一日の終わりに添える花の色さえ選べない。

 

 

 

一生の始まりを飾る名前さえ選べない。

一生の終わりを飾る名前さえ選べない。

 

一生の始まりに流れる涙の数さえ選べない。

一生の終わりに流れる涙の数さえ選べない。

 

一生の始まりを彩る空の色さえ選べない。

一生の終わりを彩る空の色さえ選べない。

 

一生の始まりに添える花の色さえ選べない。

一生の終わりに添える花の色さえ選べない。

 

 

 

己の行く先さえ選べない。

己の行く末さえ選べない。

 

己の生き方さえ選べない。

己の死に方さえ選べない。

 

 

 

 

 

僕は、何も選べない。

 

 

 

案山子

今日も、僕は笑っている。

今日も、あの子は泣いている。

 

僕が笑顔を零すその裏で、誰かが涙を流している。

僕が幸福に生きているその陰で、誰かが不幸なまま死んでいく。

 

僕の笑顔は、誰かの涙の上に存在している。

僕の幸福は、誰かの不幸の上に存在している。

僕の身体は、誰かの死体の上に存在している。

僕の生命は、誰かの生命の上に存在している。

 

僕にとっての天国は、誰かにとっての地獄だ。

僕にとっての地獄は、誰かにとっての天国だ。

 

 

 

あの子が笑っていられるのなら、僕は涙を飲み込もう。

あの子が神様に愛されるのなら、僕は神様に嫌われよう。

あの子が夢を見ていられるのなら、僕は現実を受け止めよう。

あの子が幸せでいてくれるのなら、僕は不幸を受け入れよう。

 

あの子が生きていてくれるのなら、僕は死を受け入れよう。

 

 

 

僕は、この生き方しか知らない。

僕は、この生き方しか出来ない。

 

 

 

 

 

本当は、あなたを守りたかった。

本当は、あなたを救いたかった。

本当は、あなたを愛したかった。

本当は、あなたを生かしたかった。

 

本当は、あなたに守られていた。

本当は、あなたに救われていた。

本当は、あなたに愛されていた。

本当は、あなたに生かされていた。

 

 

 

あなたが生きていてくれるなら、僕も生きていたい。

あなたが生きていてくれるなら、僕も生きてみたい。

あなたが生きていてくれるなら、僕はまだ生きられる。

あなたが生きていてくれるなら、僕はまだ生きていける。

 

 

 

あなたが生きていてくれるから、僕はまだ死ねない。

あなたが生きていてくれるから、僕はまだ生きている。

 

 

 

 

 

どうか、あなたが幸せでありますように。

 

 

 

獣の如く

ただ、喰いたいから喰っている。

ただ、飲みたいから飲んでいる。

ただ、歩きたいから歩いている。

ただ、走りたいから走っている。

 

ただ、戦いたいから戦っている。

ただ、叫びたいから叫んでいる。

ただ、壊したいから壊している。

ただ、笑いたいから笑っている。

 

ただ、書きたいから書いている。

ただ、作りたいから作っている。

ただ、歌いたいから歌っている。

ただ、続けたいから続けている。

 

ただ、会いたいから会っている。

ただ、触れたいから触れている。

ただ、愛したいから愛している。

ただ、生きたいから生きている。

 

其処に、意味なんてない。

其処に、理由なんてない。

 

其処に在るのは、欲望だけだ。

其処に在るのは、衝動だけだ。

其処に在るのは、本性だけだ。

其処に在るのは、本能だけだ。

 

 

 

其処に居るのは、ただの獣だ。

 

 

 

獣は獣らしく、惨めに野垂れ死ぬのがお似合いだ。

獣は獣らしく、誰かに撃たれ死ぬのがお似合いだ。

 

 

 

 

 

喰いたいなら、喰え。

飲みたいなら、飲め。

歩きたいなら、歩け。

走りたいなら、走れ。

 

戦いたいなら、戦え。

叫びたいなら、叫べ。

壊したいなら、壊せ。

笑いたいなら、笑え。

 

書きたいなら、書け。

作りたいなら、作れ。

歌いたいなら、歌え。

続けたいなら、続けろ。

 

会いたいなら、会え。

触れたいなら、触れろ。

愛したいなら、愛せ。

生きたいなら、生きろ。

 

其処に、意味なんていらない。

其処に、理由なんていらない。

 

其処に在るのは、欲望だけだ。

其処に在るのは、衝動だけだ。

其処に在るのは、本性だけだ。

其処に在るのは、本能だけだ。

 

 

 

其処に居るのは、ただの獣だ。

 

此処に居るのは、ただの獣だ。

 

 

 

ただ、己の欲望のままに。 

ただ、己の衝動のままに。

ただ、己の本性のままに。

ただ、己の本能のままに。 

 

獣は獣らしく、生き延びてみせろ。

獣は獣らしく、生き抜いてみせろ。

 

 

 

 

 

獣の如く、強く在れ。

獣の如く、気高く在れ。

 

獣の如く、儚く在れ。

獣の如く、美しく在れ。

 

 

 

 

 

アレグロ

また一つ、季節が過ぎていく。

 

振り返ることもなく、季節が過ぎていく。

 

また一つ、生命が消えていく。

 

燃え尽きることもなく、生命が消えていく。

 

 

 

少しずつ、景色は変化していく。

 

泣いている暇もないくらいに、景色は変化していく。

 

少しずつ、世界は加速していく。

 

立ち尽くしている暇もないくらいに、世界は加速していく。

 

 

 

いつの間にか、生まれていた。

 

いつの間にか、始まっていた。

 

いつの間にか、変わっていた。

 

いつの間にか、終わっていた。

 

 

 

 

いつの間にか、春になっていた。

 

いつの間にか、夏になっていた。

 

いつの間にか、秋になっていた。

 

いつの間にか、冬になっていた。

 

 

 

いつの間にか、日が揺れていた。

 

いつの間にか、日が暮れていた。

 

いつの間にか、夜が更けていた。

 

いつの間にか、夜が明けていた。

 

 

 

いつの間にか、あなたに出逢っていた。

 

いつの間にか、あなたが隣にいた。

 

いつの間にか、あなたを想っていた。

 

いつの間にか、あなたを愛していた。

 

 

 

いつの間にか、あなたと生きていた。

 

いつの間にか、あなたがいなくなっていた。

 

 

 

 

 

何もかもが、速過ぎた。

 

何もかもが、遅過ぎた。

 

 

 

 

 

また一つ、季節が過ぎていく。

 

また一つ、生命が消えていく。

 

少しずつ、景色が変化していく。

 

少しずつ、世界が加速していく。

 

 

 

少しずつ、何かが変わっていく。

 

少しずつ、何かが終わっていく。

 

 

 

泣いている暇はない。

 

立ち尽くしている暇はない。

 

僕には、時間がない。

 

僕たちには、時間がない。

 

 

 

 

 

まだ、間に合うかな。

 

 

 

何もない世界

この世界に生まれた理由など、何もない。

この世界に生きている理由など、何もない。

この世界で生きてきた理由など、何もない。

この世界で生きていく理由など、何もない。

 

この世界に生まれた道理など、何もない。

この世界に生きている道理など、何もない。

この世界で生きてきた道理など、何もない。

この世界で生きていく道理など、何もない。

 

この世界に生まれた価値など、何もない。

この世界に生きている価値など、何もない。

この世界で生きてきた価値など、何もない。

この世界で生きていく価値など、何もない。

 

この世界に生まれた意味など、何もない。

この世界に生きている意味など、何もない。

この世界で生きてきた意味など、何もない。

この世界で生きていく意味など、何もない。

 

 

 

本来、命に理由など必要ない。

本来、命に道理など必要ない。

本来、命に価値など必要ない。

本来、命に意味など必要ない。

 

本来、命に必要なものなど、何もない。

本来、命に必要なことなど、何もない。

 

 

 

本来、命には何一つ必要ない。

 

 

 

この世界を愛してはいけない理由など、何処にもない。

この世界を愛さなくてはならない道理など、何処にもない。

 

この世界を憎んではいけない理由など、何処にもない。

この世界を憎まなくてはならない道理など、何処にもない。

 

この世界に生きてはいけない理由など、何処にもない。

この世界に生きていなければならない道理など、何処にもない。

 

この世界に死んではいけない理由など、何処にもない。

この世界に死ななければならない道理など、何処にもない。

 

 

 

この世界に我々を縛り付けるものなど、何もない。

この世界に我々を抑え付けるものなど、何もない。

 

我々は、自由だ。

死にたくなるほど、自由だ。

 

 

 

何もない場所で生まれたから、何もない場所で生きているだけ。

何もない場所で生まれたから、何もない場所へ還っていくだけ。

 

何も持たずに生まれてきたから、何も持たずに生きていくだけ。

何も持たずに生まれてきたから、何も持たずに消えていくだけ。

 

 

 

ただ、それだけ。

ただ、それだけのことだ。 

 

 

 

 

 

何もない場所で生まれたなら、何もない場所で生きろ。

何もない場所で生まれたなら、何もない日々を生きろ。

 

何も持たずに生まれてきたなら、何も持たずに生きろ。

何も持たずに生まれてきたなら、何も捨てずに生きろ。

 

 

 

 

 

この世界には、何もない。

 

 

 

誰も傷付けることのない者たち

土のはぐくみ。

花のゆらめき。

虫のさざめき。

鳥のさえずり。

 

川のせせらぎ。

風のささやき。

森のざわめき。

月のほほえみ。

 

 

 

生命は、生命を育てて生きている。

生命は、生命を与えて生きている。

生命は、生命を愛して生きている。

生命は、生命を燃やして生きている。

 

それぞれが、それぞれの営みを全うしている。

それぞれが、それぞれの生命を全うしている。

 

生命は、生命を食らって生きている。

生命は、生命を奪って生きている。

生命は、生命を殺して生きている。

生命は、生命を燃やして生きている。

 

それぞれが、それぞれの闘争を全うしている。

それぞれが、それぞれの本能を全うしている。

 

 

 

陽の光は、全ての生命に光を齎す。

陽の光は、全ての生命の陰を殺す。

 

陽の光は、全ての生命に闇を齎す。

陽の光は、全ての生命に陰を作る。

 

陽の光は、全ての生命に等しく降り注ぐ。

陽の光は、全ての生命を等しく照らしている。

 

全ての生命は、太陽の支配下にある。

全ての生命は、遍く照らされている。

 

 

 

太陽が息絶えるまで、闘争は無くならない。

太陽が息絶えるまで、本能は無くならない。

 

生命が生命である限り、闘争は無くならない。

生命が生命である限り、本能は無くならない。

 

生命が在る限り、闘争は無くならない。

生命が在る限り、本能は無くならない。

 

強者と弱者が在る限り、闘争は無くならない。

強者と弱者が在る限り、本能は無くならない。

 

 

 

 

 

土のはぐくみ。

花のゆらめき。

虫のさざめき。

鳥のさえずり。

 

川のせせらぎ。

風のささやき。

森のざわめき。

月のほほえみ。

 

 

 

誰も傷付けることのない者たちの、輝きを知っているか。

誰も傷付けることのない者たちの、尊さを知っているか。

誰も傷付けることのない者たちの、儚さを知っているか。

誰も傷付けることのない者たちの、美しさを知っているか。

 

 

 

誰も傷付けることのない者たちの、覚悟を知っているか。

誰も傷付けることのない者たちの、強さを知っているか。

 

 

 

 

 

強き者よ、弱く在れ。

弱き者よ、強く在れ。

 

 

 

春を想う

あなたが好きだと言っていた、煙草の味が分かるようになりました。

あなたが好きだと言っていた、言葉の色が分かるようになりました。

あなたが好きだと言っていた、絵の価値が分かるようになりました。

あなたが好きだと言っていた、歌の意味が分かるようになりました。

 

あなたが嫌いだと言っていた、後悔の味が分かるようになりました。

あなたが嫌いだと言っていた、社会の色が分かるようになりました。

あなたが嫌いだと言っていた、お金の価値が分かるようになりました。

あなたが嫌いだと言っていた、約束の意味が分かるようになりました。

 

 

 

あなたが好きだと言っていた、人間の良いところが分からなくなりました。

あなたが好きだと言っていた、人間の悪いところが分かるようになりました。

あなたが好きだと言っていた、人間の悪いところが分からなくなりました。

あなたが好きだと言っていた、人間の良いところが分かるようになりました。

 

あなたが嫌いだと言っていた、人間の良いところが分からなくなりました。

あなたが嫌いだと言っていた、人間の悪いところが分かるようになりました。

あなたが嫌いだと言っていた、人間の悪いところが分からなくなりました。

あなたが嫌いだと言っていた、人間の良いところが分かるようになりました。

 

 

 

 

 

全部、あなたのお陰で分からなくなりました。

全部、あなたのお陰で分かるようになりました。

 

全部、あなたの所為で分からなくなりました。

全部、あなたの所為で分かるようになりました。

 

 

 

全部、教えてくれたのはあなたでした。

 

 

 

愛しいあなたに、愛を込めて。

愛しいあなたに、呪いを込めて。 

 

 

 

 

 

あなたのことを、忘れない。

あなたのことは、忘れない。