木霊、言霊。

備忘録か、遺言か、ラブレターか。

アレグロ

また一つ、季節が過ぎていく。

 

振り返ることもなく、季節が過ぎていく。

 

また一つ、生命が消えていく。

 

燃え尽きることもなく、生命が消えていく。

 

 

 

少しずつ、景色は変化していく。

 

泣いている暇もないくらいに、景色は変化していく。

 

少しずつ、世界は加速していく。

 

立ち尽くしている暇もないくらいに、世界は加速していく。

 

 

 

いつの間にか、生まれていた。

 

いつの間にか、始まっていた。

 

いつの間にか、変わっていた。

 

いつの間にか、終わっていた。

 

 

 

 

いつの間にか、春になっていた。

 

いつの間にか、夏になっていた。

 

いつの間にか、秋になっていた。

 

いつの間にか、冬になっていた。

 

 

 

いつの間にか、日が揺れていた。

 

いつの間にか、日が暮れていた。

 

いつの間にか、夜が更けていた。

 

いつの間にか、夜が明けていた。

 

 

 

いつの間にか、あなたに出逢っていた。

 

いつの間にか、あなたが隣にいた。

 

いつの間にか、あなたを想っていた。

 

いつの間にか、あなたを愛していた。

 

 

 

いつの間にか、あなたと生きていた。

 

いつの間にか、あなたがいなくなっていた。

 

 

 

 

 

何もかもが、速過ぎた。

 

何もかもが、遅過ぎた。

 

 

 

 

 

また一つ、季節が過ぎていく。

 

また一つ、生命が消えていく。

 

少しずつ、景色が変化していく。

 

少しずつ、世界が加速していく。

 

 

 

少しずつ、何かが変わっていく。

 

少しずつ、何かが終わっていく。

 

 

 

泣いている暇はない。

 

立ち尽くしている暇はない。

 

僕には、時間がない。

 

僕たちには、時間がない。

 

 

 

 

 

まだ、間に合うかな。