木霊、言霊。

備忘録か、遺言か、ラブレターか。

案山子

今日も、僕は笑っている。

今日も、あの子は泣いている。

 

僕が笑顔を零すその裏で、誰かが涙を流している。

僕が幸福に生きているその陰で、誰かが不幸なまま死んでいく。

 

僕の笑顔は、誰かの涙の上に存在している。

僕の幸福は、誰かの不幸の上に存在している。

僕の身体は、誰かの死体の上に存在している。

僕の生命は、誰かの生命の上に存在している。

 

僕にとっての天国は、誰かにとっての地獄だ。

僕にとっての地獄は、誰かにとっての天国だ。

 

 

 

あの子が笑っていられるのなら、僕は涙を飲み込もう。

あの子が神様に愛されるのなら、僕は神様に嫌われよう。

あの子が夢を見ていられるのなら、僕は現実を受け止めよう。

あの子が幸せでいてくれるのなら、僕は不幸を受け入れよう。

 

あの子が生きていてくれるのなら、僕は死を受け入れよう。

 

 

 

僕は、この生き方しか知らない。

僕は、この生き方しか出来ない。

 

 

 

 

 

本当は、あなたを守りたかった。

本当は、あなたを救いたかった。

本当は、あなたを愛したかった。

本当は、あなたを生かしたかった。

 

本当は、あなたに守られていた。

本当は、あなたに救われていた。

本当は、あなたに愛されていた。

本当は、あなたに生かされていた。

 

 

 

あなたが生きていてくれるなら、僕も生きていたい。

あなたが生きていてくれるなら、僕も生きてみたい。

あなたが生きていてくれるなら、僕はまだ生きられる。

あなたが生きていてくれるなら、僕はまだ生きていける。

 

 

 

あなたが生きていてくれるから、僕はまだ死ねない。

あなたが生きていてくれるから、僕はまだ生きている。

 

 

 

 

 

どうか、あなたが幸せでありますように。