木霊、言霊。

備忘録か、遺言か、ラブレターか。

旅路

生きる為だと割り切って、沢山の荷物を捨てて来た。

中には捨てたくないものもあったが、それも捨ててしまった。

 

随分、身軽になった。

手元にはもう、大事なものしか残っていない。

 

大事なものの中から、僕はまた何かを捨てなければならない。

またいつか、何かを捨てなければならない時が必ず訪れる。

 

大事なものの中から優先順位の高いものを選んで手元に残す。

大事なものの中から優先順位の低いものを選んで捨てる。

 

大事なものに優先順位を付けられない僕は、子どものままなのだろうか。

大事なものに優先順位を付けるようになることが、大人になるということなのだろうか。

 

大事なものは、大事なのだ。

大事なものだから、失くしたくないのだ。

大事なものがあることが、僕が僕のままでいられる理由なのだ。

本当に大事なものを失くした時、それでも僕は僕のままでいられるのだろうか。

 

大事なものを捨ててでも前に進むべきなのか。

大事なものを捨てずに進むことの出来る道を選んで進むべきなのか。

 

今の僕には分からない。

 

だけど、きっと。

 

その忘れ物が本当に大事なものなら、いつかまた思い出せる筈だ。

その落とし物が本当に大事なものなら、いつかまた拾いに行ける筈だ。

 

そう信じて、今は進むしかない。

 

 

 

この場所に一旦、置いて行くだけだ。

 

必ず、また迎えに行く。

 

必ず迎えに行くから、もう少し待っていてくれ。

 

必ず帰って来るから、もう少し待っていてくれ。

 

 

 

 

 

旅路は、まだ続いている。